ホーム > 知られざる北陸の食 > 北陸の郷土食 > なれずし

なれずし

地域:富山県

 なれずしは、魚の保存法として発展したもので、富山県でもアユやサケ、サバなどが昔からなれずしにされてきた。なれずしは、酢を使わず、米と塩、米麹などで発酵させて作られる。アユは神通川庄川が漁場となっており、アユを使ったなれずしの「あゆずし」が、「ますずし」の原型ともいわれている。塩漬けにしたアユをご飯と麹に漬け込むことで、乳酸発酵による酸がアユの身を締め腐敗を防ぐとともに、古漬けのような独特の風味を醸しだす。一カ月するとアユの骨まで軟らかくなり、コクと酸味が増す。以前は、アユが豊漁の時には「あゆずし」にして保存する家庭もあったが、今ではほとんど作る人がいなくなっている。
 一方、南砺市の城端別院善徳寺(旧城端町)と南砺市の井波別院瑞泉寺(旧井波町)では、仏事の際に「さばずし」が参会者に供される習わしが今も伝承されている。善徳寺では、7月22日から28日の間に行われるお寺の行事の「虫干し法会」で、また瑞泉寺では7月21日から29日の「太子伝会」にて、それぞれお斎(とき)と呼ばれる食事の振る舞いの一品に「さばずし」が出される。
 法会用の「さばずし」は、5月下旬から6月のはじめにかけて漬け込まれる。三枚におろしたサバに塩をして飯の層で挟むように密閉し、何層にも重ねていく。善徳寺の「さばずし」は米と塩、山椒の葉だけで漬けられる、古い形のなれずしで、毎年7000食分のサバが用意されるという。瑞泉寺のさばずしには、さらに米麹・酒・とうがらしが加わる。いずれの寺でも、伝統を受け継ぐ町の魚商組合の講仲間たちによって漬け込まれている。

なれずしが旬の時期

なれずしは、7月上旬~7月下旬が旬の時期です。

※カレンダーは、北陸で一般的によく食べられる時期の目安です。その年によって食べられる時期が変わる場合があります。

お問い合わせ

城端別院善徳寺 0763-62-0026

井波別院瑞泉寺 0763-82-0004 

ページの先頭へ