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栃餅とちもち

地域:石川県 

 黒っぽい粒々があり、ほんのり茶色がかった「栃餅」。昔、平地が少なく米が多く採れない山間地で、飢饉の際など、少しでも多くの主食を確保しようと白米やもち米に栃の実を混ぜ、量を増やして食べたのが始まりという。栃餅は、このような山の暮らしの知恵からうまれたひと品だ。白山麓地方では今も、正月や祭りにこの餅を作る風習がある。
 栃餅は、栃の木の実で作られる。実は栗をまんまるにしたような形で、とてもかわいらしい。栃の実拾いの時期は、9月の終わり頃から20日間ほどと大変短い。落ちた実には虫が入りやすく、なるべく早く採取する必要があるからだ。採取後は十分に乾燥し、保存する。
 作り方は大まかに、栃の実の皮を取り、アク抜きし、餅米とともに蒸してつく、という具合に作られ、仕込みの工程ひとつをとってもたいへん手間のかかる仕事だ。また、アク抜きの加減ひとつで味が変わるため、経験は必須である。
 味は、栃の実のアクがほどよい風味として香る素朴なもので、甘さ控えめのさっぱりとした後味が特徴だ。シンプルなあん入りの丸餅や、粒あんを外側にまぶしたものがある。
 近年、栃の木の伐採が多くなったせいか、山奥まで入らないと実が手に入らない。家庭で作られることも少なくなったそうで、栃餅は貴重な伝統食となっている。現在、石川県では、日本一大きな栃の木「太田の大栃」がある白峰地区に、栃餅を売る店が数軒ある。能登地方では栃餅のことを「とちの実だご」とも呼ぶ。

栃餅が旬の時期

通年。

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