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山桜


ヤマザクラの花(2009.4.12 石川県林業試験場)

ソメイヨシノの人気が沸騰する以前、サクラといえば、このヤマザクラがもっともポピュラーでした。和歌に登場するのも多くがこのさくらで、かの「吉野の千本桜」のシロヤマザクラはヤマザクラの別名です。

日本人のさくらを愛でる心の根底にあるのはこのさくらを愛しんできたDNAがあるといっても過言じゃない、忘れてはいけないさくらでもあります。

実は私、一時期、趣味で木工細工にはまったことがあります。日常使う、箸やスプーン、ナイフなどの食器を自分で木を削って作ったりしました。その時に使う材として「丈夫で良い」とすすめられたものがヤマザクラ材。削るとさくらのいい香りがします(削りかすはスモークのチップになります)が、丈夫というだけあってとにかく切るのも削るのも大変で、指はマメだらけ、体は筋肉痛となり、そんな趣味も今はお蔵入りになりつつあります(笑)。

ヤマザクラで木工というと、秋田県の伝統工芸品「樺細工」を思い浮かべますが、あの美しい樹皮はヤマザクラではなく、実はオオヤマザクラという別の品種のさくらであることを、『サクラハンドブック』(大原隆明著 文一総合出版)という本を見て知りました。

そもそも、ヤマザクラは西日本中心(関東の海沿いも)、オオヤマザクラは東日本中心(山陰や四国の一部も)に分布している野生種だそうで、重複して分布するところはほとんどないとのこと。
ところが、ここ北陸は分布の境にあって、前述の本によれば福井県や石川県と富山県の海沿いがヤマザクラの分布域で、福井県と石川県の山沿いと富山県(海岸沿いの一部を除く)がオオヤマザクラの分布域であり、なかでも能登半島では両方のサクラが分布しているという、ヤマザクラ系の愛好者(そんな人はいるのかどうか?)にはたまらない土地なのです。

どちらも花と同時に赤みがかった若葉を開かせますが、花の色がオオヤマザクラの方が赤みは強いとか。でも、並べて見ないとなかなか分かりませんね。

また、良く似たサクラでカスミザクラという野生種もありますが、ヤマザクラやオオヤマザクラがソメイヨシノとほぼ同じ時期に咲くのに比べて、カスミザクラはかなり遅れて咲きますので区別がつけられるでしょう。

ソメイヨシノの桜並木もいいですが、里山にポツリ、ポツリと点在するヤマザクラの風景もオツですね。

※自然人ブログより転載。内容は2010年3月現在のものです。

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