富山県のおすすめスポット~空と仲良くなれる場所
海抜一万尺 雄山神社峰本社
佐伯史麿=写真と文 ◎雄山神社神職
かつて立山で永く護持(ごじ)されていた修験道は、大自然を心身深くに感じとり、それと一つになることを目指して山へ修行に入る信仰でした。山川草木(さんせんそうもく)さまざまある自然の中でも、立山では空がとりわけ大きな存在でした。
難行苦行の末にたどり着いた雄山山頂で、人々は天空につき立つ岩峰(がんぽう)とその切っ先に祀られし峰本社(みねほんしゃ)を目にし、感激にうち震えてむせび泣いたと伝えられます。また雲海の彼方に昇りくる朝日は仏菩薩(ぶつぼさつ)のご来迎(らいごう)と仰がれ、一日の再生エネルギーがぎっしりと詰まったあたたかな日の光を合掌の登拝者にふり注いで生きる力を与えました。
空に限りなく近い頂は「我は今、神仏の懐中にあり」の感動を現代人にもありありと感じさせてくれる場であります。
住所 | 中新川郡立山町 |
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アクセス | 立山室堂ターミナルから徒歩約2時間 |
立山・雄山神社峰本社 |
立山・雄山での御来光(横) |
義経伝説を今に伝える 雨晴海岸の夜明け
泉 治夫=写真と文 ◎高岡生物研究会会長・富山県ナチュラリスト協会会長
雨晴の地名は、源義経が頼朝に追われ奥州への逃避行の途中、弁慶が持ち上げた岩の下で雨宿りしたという言い伝えにちなみます。
この辺りは二上山丘陵が急な崖をもって富山湾に山裾を濡らし、沖合には大小の岩礁が散らばる景勝地です。東を望めば立山連峰が洋上から直に3000mのパノラマを連ね、西から北に目を移せば、白砂青松の彼方に能登半島が優しく弧を描いています。富山県と富山湾は、あたかもドーム型の空にすっぽりと覆われた大きな箱庭のようなものです。
雨晴海岸の美しさは、夜明けのわずかなひと時こそ勝れます。立山連峰の背後から厳かに陽は昇り、逆光の中、峰々はくっきりとした輪郭を次第に薄紫に染めてゆきます。
太陽が顔を出す瞬間、光は空と海に向けて金色の矢を放ち、夜の気配が残る雲の端や幾重にも寄せくる波をきらきらと輝かせて、伝説の義経岩に生える松影や沖合に浮かぶ女岩は漆黒のシルエットとなります。
住所 | 高岡市太田雨晴 |
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アクセス | JR氷見線雨晴駅からすぐ |
雨晴海岸の日の出 |
塔のてっぺんで愛の告白 富岩運河環水公園展望塔
岩崎康博=写真と文 ◎富山県土木部都市計画課
富岩運河環水公園のシンボル施設である「天門橋」は、空に向かって垂直にのびるイメージ「天」と富岩運河をはさみ両側にそびえる展望塔の形「門」とを組み合わせて名付けられました。
天門橋の両側にある二つの展望塔の高さは20・4mあり、雄大な立山連峰や呉羽丘陵、運河水面が一望できるようになっています。また、展望塔間には長さ58mの「運命の赤い糸」ならぬ「赤い糸電話」があり、愛の告白スポットとなっています。
住所 | 富山市湊入船町 |
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アクセス | JR富山駅から徒歩10分 ※詳しくは環水公園HPまで http://www.kansui-park.jp |
富岩運河環水公園 |
監的壕から見る 平和な空
奥野達夫=写真と文 ◎南砺市立福光美術館長
砺波平野の南端にある立野ヶ原丘陵地帯。近年は「いちご狩り」の里として有名となりました。
そこからすぐ東の方向、眺めのよい小高い丘に、この「監的壕(カンテッコー)」と呼ばれる古びたコンクリート製の不思議な形をした構造物があります。かつて、戦前の約50年間、ここは旧陸軍金沢師団の砲兵隊演習場で、野砲の着弾を監視した施設です。
火薬庫の歩哨が螢捕ったとて
外出止めを二日くらった荒井美蔦香
地元の青年歌人の短歌です。本州では北富士演習場に次ぐ規模でしたが、戦後は食料増産のため二百戸が入植。トーチカの銃眼のような監視窓からは、特産である干柿の柿木畑が広がる丘陵と、のどかに広がる空を眺めることができます。
住所 | 南砺市土生新 |
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アクセス | 東海北陸自動車道福光ICから車で約10分 |
監的壕外観 |
風化させてはいけないモノ |
※記載されている情報は2008年9月1日現在のものです
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