富山県でお宝発見
古(いにしえ)の修験者がのこした足跡
銅錫杖頭(どうしゃくじょうとう)【富山県[立山博物館]】
日本でもっとも古い1700年前の氷河の氷
立山、内蔵助(くらのすけ)雪渓の氷体【立山カルデラ砂防博物館】
万葉集とその時代に関する情報センターとして収集した宝物
万葉集の断簡と遣唐使船模型【高岡市万葉歴史館】
※本文や施設情報は2011年秋発行の「自然人」第30号に掲載された内容をベースに、2019年11月現在の最新情報を反映するなど、一部改訂しています。
古(いにしえ)の修験者がのこした足跡
銅錫杖頭(どうしゃくじょうとう)【富山県[立山博物館]】
明治40(1907)年、柴崎芳太郎ら測量隊一行は、陸軍陸地測量部から地形図完成に必要な三等三角点網整備と、国内最後の未踏峰とされた越中剱岳の初登頂達成という厳命を受けて来富しました。この時の測夫は生田信。後年名ガイドとたたえられた宇治長治郎らが案内人をつとめました。しかし後に柴崎氏の著になる『越中剱岳先登記』には長治郎の名はなく、氏名不詳と記載されています。
かつて誰も登れない、登ってはならない山とされ、弘法大師が草鞋三千足を用いても登ることができなかったといわれる剱岳。この山に登頂するのは並大抵のことではありませんでしたが、一行は艱難辛苦の末、ついに頂上を極めることに成功します。しかし喜びもつかの間、そこで一行が発見したのは、古色蒼然とたたずむ銅錫杖頭と鉄剣でした。それは遙か昔、某(なにがし)かの修験者がすでに剱岳の頂に到達していた事を示すものだったのです。
この『銅錫杖頭』は総高13.4cm、輪径10.9cm。昭和34(1959)年、鉄剣とともに国の重要文化財に指定され、後に、富山県に寄贈されて現在に至っています。またこの一連の出来事は、新田次郎著『剱岳〈点の記〉』に詳しく書かれています。
(文/奥澤真一郎)
富山県[立山博物館]
HP | http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/home.html |
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住所 | 富山県中新川郡立山町芦峅寺93-1 |
電話番号 | 076-481-1216 |
開館 | 9:30~17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 毎週月曜日(祝日は除く)・祝日の翌日・年末年始 ※まんだら遊苑は12月1日~3月31日まで休苑 |
入館料 | 展示館一般300円・遙望館100円・まんだら遊苑400円・3施設セット券650円 |
交通 | 立山ICから車30分 |
日本でもっとも古い1700年前の氷河の氷
立山、内蔵助(くらのすけ)雪渓の氷体【立山カルデラ砂防博物館】
日本でもっとも古い氷はどこにあるのでしょうか? 答えは富山県の立山、内蔵助雪渓で見つかった1700年前の氷河氷で、現在、立山カルデラ砂防博物館の低温室に保管されています。
10月に内蔵助雪渓に降り立つと、表面にはツルツルとした氷が露出しています。この氷には深さ20mに達する縦穴(ムーラン)が10数個開いていて、雪融け水が流れ込んでいます。
1980年代に名古屋大学の研究者がこの縦穴にもぐったところ、透明な氷の層や汚れた層が下流にむかってせり上がる、かつて氷河として流れていた痕跡を発見しました。さらに縦穴の底の氷に含まれていた木片の放射性炭素年代測定の結果から、氷の年代は約1700年前であることが分かりました。
内蔵助雪渓の氷は邪馬台国で卑弥呼が活躍していた頃、内蔵助カールを埋め尽くして流れていた氷河の氷が現在まで融けきらずに残っていた貴重なものだったのです。
その後の調査で氷の流動が測定されたため、平成30(2018)年、現存する氷河であると学術的に認められました。(2019年12月追記)
(文/飯田 肇、福井 幸太郎・同館学芸員)
立山カルデラ砂防博物館
HP | http://www.tatecal.or.jp/tatecal/index.html |
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住所 | 富山県中新川郡立山町芦峅寺字ブナ坂68 |
電話番号 | 076-481-1160 |
開館 | 9:30~17:00 |
休館日 | 毎週月曜日(祝日を除く)・祝日の翌日(土・日曜日を除く)・年末年始 |
入館料 | 一般400円 |
交通 | 立山ICから車40分 |
万葉集とその時代に関する情報センターとして収集した宝物
万葉集の断簡と遣唐使船模型【高岡市万葉歴史館】
開館以来、館のシンボルとして展示している遣唐使船模型(1/6縮小)は、万葉集をはじめとする古代日本文化に大きな影響を及ぼした中国との関わりを知る上で貴重な資料であり、当館の宝物のひとつです。企画展の内容が変わっても、万葉時代を支えたものとして、ずっと企画展示室内に展示しています。
また、当館には「万葉集に関する調査研究はまず万葉歴史館で」と言われることを目標に収集してきた文献約8万6000件という宝物があります。その大半は、同一規格にして著者別分類された昭和以降の研究論文ですが、明治以前の万葉集写本や研究書の収集にも努めてきました。そのなかでも貴重なものは、江戸時代以前に書写された写本の断片(断簡)17点と、奈良時代の写経の断簡2点です。とくに前田家ゆかりの万葉集で現存最古の写本「桂本」の断簡を精密に複写した断簡「栂尾類切(とがのおるいぎれ)」は、現在10点しか確認されていないものです。
(文/新谷 秀夫・同館学芸課長)
高岡市万葉歴史館
HP | https://www.manreki.com/ |
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住所 | 富山県高岡市伏木一宮1-11-11 |
電話番号 | 0766-44-5511 |
開館 | 9:00~18:00(11~3月は17:00まで) |
休館日 | 毎週火曜日(祝日の場合はその翌日)・年末年始 |
入館料 | 一般300円 |
交通 | 高岡北ICから車20分 |