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炭火で豪快に作りたい 家ではできない野外料理に挑戦

左からジャンバラヤ、チーズハンバーグ、キャベツスープ

文・取材協力 内藤 善太/写真 今寺 学/撮影協力 夕日寺県民自然園

プロフィール

アウトドア料理の達人
内藤 善太(ないとう ぜんた)

1975年生まれ。CONEコーディネーター、日本キャンプ協会キャンプディレクター1級、いしかわ自然学校インストラクター。2013年より石川県森林公園インフォメーションセンター勤務。

家ではできない料理をするために、キャンプに行くのも良いですね。炭火を熾(おこ)してつくるダッチオーブン料理は、火力調整のコツをつかめば調理自体は意外と簡単です。CONEインストラクターで野外料理の達人・内藤善太さんに実践していただきました。

※レシピは大人4~5人分。焚き火の条件はキャンプ場によって異なるので事前に確認を

ダッチオーブンとは

炒める、蒸す、煮る、揚げる…と、どんな調理もこなしてくれる鋳鉄製などの鍋です。一番の特徴は、蓋の上にも熱源を置くことができ、上下から加熱しオーブンのように使えること。これによってローストチキンやピザ、パンなど通常の鍋では調理が難しいものも作れるようになります。

また、熱を鍋全体に均一に伝えるので、食材を包み込むように加熱し、大きな食材にも内部にまでしっかり火が通ります。さらに、重い蓋が本体との密閉度を高めてくれるので、素材の旨みを逃すことなく調理してくれるのです。

初めのうちは重くて取扱いが難しく感じるかもしれませんが、慣れればそれほど面倒はなく、ダッチオーブンでないと出せない美味しさにハマって、キャンプのご飯が一段と楽しみになるでしょう。価格は素材や大きさによってさまざまですが、安価なものは3,000円ほどから手に入ります。最近は扱いやすいステンレス製のものや、家庭のキッチンでも使えるものもあるので、使用シーンや目的に合わせて選びましょう。

焦げ付きやすい料理は上からの火力を強くするなどして調節します

キャベツスープ

火にかけて放っておけばできるスープは、ダッチオーブン初心者におすすめです。
野菜をたくさん食べられ、体もあたたまります。

ダッチオーブンは12インチを使用

【材料】 合い挽き肉…200g
キャベツ(大)…1/4玉
玉ねぎ…2個
トマト缶(カットタイプ)…1缶
水…800ml
コンソメ顆粒…適量
塩コショウ…適量

作り方

  1. キャベツは芯を落とし、食べやすい大きさにちぎってダッチオーブンの中に入れる。キャベツがひたひたになるくらいの水を入れる。(※野菜の水分が出るので水は少なめでOK)
  2. くし切りにした玉ねぎ、合い挽き肉、カットトマトを順に入れる。
  3. コンソメと塩コショウで味付けする。
  4. ダッチオーブンに蓋をして、上弱火、下中火で20分ほど加熱する。具材から水分が出て、火が通ったら完成。

コラム1)時間をかけない火熾しのコツ

誰でも簡単に火熾しができることから、着火剤を使う人は多いです。しかし、炭にしっかりと着火するまでうちわで根気よく扇ぐ必要があり、実は意外と時間がかかります。

そこで、周辺に落ち葉や枯れ枝があれば、ぜひそれだけで火を熾してみましょう。新聞紙、杉の葉、細い枝、少し太い枝(2cmもあれば十分)を組み合わせ、さらに炭を乗せて火をつけます。この時、空気の通り道ができるように隙間を空けながらラフに積むのがコツです。

これをマスターすると着火剤を使うよりはるかにスピーディーに火が熾せて、頼りになるところをアピールできるはず(?)なので、ぜひ試してみてください。

小さな炭を置いた後に、大きな炭を積みます

チーズハンバーグ

ダッチオーブンの底を種で覆ってしまう、なんとも豪快なハンバーグ。
玉ねぎが多めで柔らかめなので、こってりとした見た目とは裏腹にぺろりと食べられます。

ダッチオーブンは10インチを使用

【材料】 合い挽き肉…400g
玉ねぎ…2個
卵…2個
パン粉…1/2カップ
塩コショウ…適量
ピザ用チーズ…適量
オリーブオイル…適量

作り方

  1. 玉ねぎはみじん切りにする。
  2. ボウルに合い挽き肉、玉ねぎ、卵、パン粉、塩コショウを入れて粘りが出るまで混ぜる。
  3. ダッチオーブンにオリーブオイルをひき、2を敷き詰めるように入れる。ダッチオーブンに蓋をして火にかける。蓋の上にも炭を置き、20分ほど焼く。(※上火8:下火2くらいにするのがコツ)
  4. 蓋を開け、肉に火が通っていたら上からチーズをかけて再度蓋をし、チーズにほんのり焦げ目が付いたら完成。

コラム2)簡単かつエコな炭火の処理

野外料理で困るのが炭火の処理。U字溝などが傷むため、直接水をかけて消火するのを禁止しているキャンプ場も多いです。最後まで燃やし切り、灰を燃えるゴミに出す(持ち帰って植物の肥料にしてもよい)のもいいですが、灰になるまでにかなりの時間がかかります。

そこで、手っ取り早くしかも資源の有効活用ができる炭消し壺の使用をおすすめします。焼けた炭を壺に入れて蓋をすると、すぐに酸素が消費され火が消えます(とはいえかなりの熱さなので、取扱いには注意)。

さらに炭消し壺を使うメリットは、消火した炭がもう一度使えるところです。しかも着火しやすくなっているため、次に使う際の火熾し段階で重宝します。

炭消し壺(写真奥)はホームセンターなどで手に入ります

ジャンバラヤ

チリパウダーを利かせたスパイシーなピラフ。ご飯ものは火加減に気を配らなければいけないため、やや慣れた人向けですが、キャンプが盛り上がること間違いありません!

ダッチオーブンは12インチを使用

【材料】 お米…3合
ソーセージ…3本ほど
鶏もも肉…100g
玉ねぎ…1個
パプリカ…2個(赤、黄1個ずつ)
水…600ml
チリパウダー…適量
塩コショウ…適量
オリーブオイル…適量

作り方

  1. 米は洗ってざるにあげ、乾かしておく。(※無洗米ならそのまま使えて便利)
  2. 玉ねぎはみじん切り、ソーセージは輪切り、パプリカと鶏もも肉は一口大に切っておく。
  3. ダッチオーブンにオリーブオイルをひいて火にかけ、2を入れて軽く炒める。
  4. 1を入れ、米の表面が透き通るまで炒める。
  5. 塩コショウとチリパウダーで味付けし、水を入れる。蓋をし、上強火、下弱火にして15分ほど火にかける。(※上火9:下火1くらいにすると焦げ付く失敗が少ない)
  6. 中を確認し、水気がなくなっていたら火からおろし、余熱で15分ほど蒸らして完成。

コラム3)内藤流ダッチオーブンのメンテナンス

ダッチオーブンのメンテナンスのため、料理が完成した後も、炭火は残しておきましょう。まずは、汚れを古新聞やボロ布などで大まかにふき取っておきます。鋳鉄製のダッチオーブンは洗剤が使えないので、ここで大まかな汚れを落としておきたいです。その後、スポンジを使いながら水洗いで汚れを落とします。頑固な焦げ付きは、重曹を使って落とすと良いでしょう。鍋の内外、蓋の水気を新聞紙などで完全にふき取った後は、残した炭火で加熱し、熱い内にオイルを塗り込んでいきます。全体にくまなく塗り広げて、錆びを防止するのです。

蓋や鍋の外側にも薄くオイルを塗り込みます

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