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旬産旬食「大豆」を味わおう

環境カウンセラー/青海万里子 (料理案)金沢エコライフくらぶ/椿下佳子

大いなる豆

インドから東の地域は大豆文化圏と呼ばれ、納豆やテンペなど大豆を無塩発酵させた食品が各地にあるそうです。縄文時代中期の遺跡から出土した土器に大豆の跡があったことから、5000年前にはすでに中国原産の大豆が日本で栽培されていたことがわかります。

大豆ほど変幻自在に私達の食生活を彩ってくれている食材はほかにはないでしょう。乾燥豆の他、炒って粉に挽いた黄粉として、暗所で芽吹いた新芽をもやしとして、未熟なうちに茹でて枝豆として。さらに加工食品としては豆乳をベースにした湯葉や豆腐、油揚げ、凍り豆腐。味噌や醤油には旨味成分グルタミン酸が凝縮しています。

もしも大豆がなくなったら日本型食生活そのものが崩壊してしまいます。大豆の語源が「大いなる豆」というのもなるほどと思います。

自給率

小さな丸い粒に秘められた栄養によって、私達の祖先は長い時代、肉食に頼らずに生き延びてくることができました。こんなにも私達の食生活に重要な役割を果たしている大豆の自給率がたったの6%というのはどうしたわけでしょう。


大豆畑

どうやら日本が工業国として輸出拡大をしていく見返りに、農産物の関税の自由化が始まって、アメリカなどの安い大豆に国産が駆逐されてしまったようです。せっかく生産者が米から転作して大豆を作っても、私達消費者が輸入大豆を使った安売りの豆腐を買っていたのでは、作る人の意欲が削がれます。

遺伝子組み換えのもたらす功罪や安全性はまだまだ時の検証が必要ですが、農薬会社が創った種に世界が席巻されてしまったら、激しい気候変動が予想されるこれからの時代にあっては、いつなんどき暴騰や食糧難に見舞われるかわかりません。

地大豆

北陸ではエンレイなどの品種が多く作られていますが、珠洲市の大浜大豆や新潟県のだだ茶豆など各地には地大豆と呼ばれる在来種が300品種もあるそうです。

長い年月をかけてその土地の気候風土に合うものを自家採取して育ててきた在来種の種が、まだまだ人知れず農家の納屋に眠っているかもしれません。

地大豆や地野菜を買い求めて食べることは、私達ができる最も身近な生物多様性を守る活動といえるでしょう。

参考資料
『大豆の大研究』加藤昇著 
PHP研究所 『市民科学』第26号

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