雲は私たちにとって、最も日常的で身近な自然だと言うことができます。
誰でも、空にぽっかり浮かぶわた雲を見たことがあるはずです。
でも、それほど身近な雲を「自然」として意識して観察したり、考えてみたことはありますか?
ほとんどの人はないと思います。
私が雲の写真を撮影するようになって7年がたちます。
実は、最初は教材として生徒たちに見せるために写真を撮っていました。でも、そのうち二度と同じ物に出会うことができないその形の多様さと美しさに完全に心を奪われてしまいました。
刻々と変化する雲を見ていると「そこで今、何が起こっているのだろう」と想像力や好奇心をかき立てられると同時に、その多様な姿に魅力と刺激を感じたのです。
全天に広がる羊雲の群れ(高積雲)や尾を引いて流れる巻雲、みるみる形が変わっていく夏の積雲など、
どれだけ見ていても飽きないばかりか、その雄大さに心を奪われ時間も忘れてしまうほどです。
そんなすばらしい現象が毎日私たちの頭上で現れ、気づかれることなく通り過ぎ、消えていっているのです。
もったいないと思いませんか?
「今日はいったいどんな姿を見せてくれるのだろう」。
そう思って空を見ることで、外に出る楽しみが一つ増えていることに気づくのです。
そして今朝も、私は玄関のドアを開け、新しい出会いを期待して空を見上げながら外に向かって歩き出すのです。
雲はできる高さと形で10種類に分けられています。
巻雲(けんうん)
雲の仲間の中で一番高いところにできる雲。
ハケで掃いたように見え、「すじ雲」とも呼ばれ、雲の先端がカギ状に曲がっていることがよくあります。
高層の空気の流れが速くなる秋に、真っ青な空の中で繊細で透き通るようなこの雲が流れていく様子は、とても涼しげで美しく感じます。
巻積雲(けんせきうん)
特に秋に美しい姿を見せる、秋の雲の代表選手です。
細かな雲の粒がたくさん集まってできている雲で、空に白い小石をばらまいたように見えます。
「うろこ雲」や「いわし雲」、または鯖の背中の模様にも似ているため「さば雲」などと呼ばれ親しまれています。
形が崩れやすく、美しい姿を長くはとどめないことが多いので雲の貴重品といったところでしょうか。
巻層雲(けんそううん)
薄く空をベールで覆うようにできる雲です。
空が何となく白っぽく、透明でない時はこの雲が空を覆っていることがよくあります。
「かすみ雲」とも呼ばれ、この雲があるときには太陽や月のまわりに暈ができたり、飛行機雲と一緒にできることもあります。
高積雲 (こうせきうん)
秋に特に美しく見える、とてもバリエーションが多く、見ていて楽しい雲です。
雲のようすが、羊の群れのようにも見えるため「ひつじ雲」とも呼ばれます。
巻積雲よりはひとつひとつの雲(雲片といいます)が大きく厚いため、雲の底に薄灰色の影ができ、横方向から光がさす朝方・夕方には特に美しい姿を見ることができます。これからの季節に要注目の雲です。
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