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街なか自然ウォーク 福井編 - ゆったりした自然とちょっぴり歴史も

取材=吉澤康暢◎福井市自然史博物館館長

福井城址の自然と歴史探訪

 JR福井駅西口から北西に向かって進むと、大きな堀に囲まれ、どっしりとした石垣が目に飛び込んでくる。これが福井城址だ。福井城は徳川家康の次男・結城秀康が、慶長6年(1601年)に国入りし、6年後に雄大な城を完成させた。当時は堀の一部に足羽川を使用した4~5重の外堀があったが、現在は内堀のみが残る。天守は4層5階構造で安土城に匹敵する巨城であったと伝えられているが、寛文9年(1669年)の火災で焼失した。

 城址は桜の名所でもある。4月上旬、石垣上のソメイヨシノが一斉に開花し、よりいっそう華やかさを増す。

 福井城址に入る正面の御本城橋を渡ったところが瓦御門跡である。整然と積まれた石垣の石材の表面には、採掘した当時の大ツルの痕がくっきり残されている。また、石材のすべての角がていねいに面取りされていることにも感動する。石垣の石材は、五重の外堀も含めてすべて足羽山から切り出した笏谷石製で、山が一つなくなるぐらいの膨大な量の石材を採掘したことになる。切り出したばかりの笏谷石は青緑色で、築城当時はさぞ美しかったことであろう。

花の色が石垣や堀の水に映える。夜間はライトアップも
されて幻想的だ

花の散り際には花びらが堀の水面を埋め尽くし、花色の絨毯となる

 北西隅には天守台跡があり、そばには「福の井」という大きな井戸が残り、「福井」の由来とも言われる。その西にあるのが福井城控天守台跡で、福井地震で石垣が崩壊したまま残されている。

 お堀の生物相については、大きなコイの他、カルガモ、外来種のミシシッピアカミミガメ(いわゆるミドリガメ)などが目撃されている。


養浩館は福井空襲で焼失し、昭和57年に
復元された(写真提供:福井県観光連盟)

 福井城址から北へ10分ほど歩くと、国の名勝・養浩館庭園(御泉水)に着く。ここは、旧福井藩主松平家の別邸で、江戸時代中期を代表する名園である。福井城の舎人門の遺構や福井市立郷土歴史博物館にも立ち寄ってみよう。

 このように歴史に彩られた福井城址の、重厚な内部のつくりをじっくり見てまわるのも楽しみの一つである。

足羽山山麓めぐり

 愛宕坂は、愛宕山(明治以降は足羽山)にあった愛宕大権現社への参道であった。現在はまちづくりの拠点として整備され、途中には橘曙覧記念文学館、愛宕坂茶道美術館がある。

 足羽山への登り口としては、水道記念館横から登る百坂もある。愛宕坂を登り切ると、継体天皇を主神とする足羽神社がある。境内のシダレザクラは樹齢約360年と言われ、特に満月の日の夜桜は幻想的で絵になる。すぐ横にあるイロハモミジと共に市の天然記念物に指定されている。4月新緑の頃、色とりどりの淡緑色のパステルカラーに包まれた足羽山はとても素敵である。


コナラやアベマキ、イヌシデ、ヤマザクラなど、足羽山麓の林は色とりどり

 足羽山南東端の朝日山不動寺は笏谷石の大露天掘り跡で、足羽山の中味が全てわかるような大断面があらわれている。


朝日山不動寺の笏谷石断面図

 足羽山北部にある瑞源寺には、福井城本丸御殿の一部が移築されており、現在修復作業が行われている。ここのハギの花やイチョウの大木は一見の価値がある。

 足羽山北西部には、丹巌洞や笏谷石を採掘した七ッ尾口坑道跡などがある。

足羽川河畔の自然ウォーク

 足羽川の堤防には、2km以上にわたる桜並木があり、ソメイヨシノの満開時の花のトンネルの美しさは格別である。福井豪雨以来、川底の掘削とあわせて堤防の設計の見直しが行われ、ソメイヨシノの老木の伐採や、新たな幼木の植栽が行われている。


足羽山から見下ろす福井市街。
足羽川河畔の桜並木が見渡せる

 足羽川にかかる九十九橋は長寿橋(JR福井駅より1.1 km)ともいわれ、北ノ庄城時代より福井城下への重要な玄関口であり、戦略上の拠点でもあった。そのため橋のつくりは珍しい半石半木で、全国的にも珍しいものであった。当時の笏谷石製の橋脚は、市立郷土歴史博物館をはじめ啓蒙小学校などで保管されている。九十九橋のいわれが書かれた「九十九橋の歴史」碑は北詰めにある。

 日野川との合流点より上流の川岸にはタコノアシ(ユキノシタ科の多年草)という絶滅危惧種の植物が繁茂し、また春先の河川敷では外来種であるセイヨウカラシナ(アブラナ科)が黄色のお花畑を形成している。


足羽川河畔から足羽山を望む。
足羽川堤防の桜並木は日本桜名所100選に選ばれている

福井市の街歩きの問い合わせ

福井市観光開発室

電話番号 0776(20)5346

※記載されている情報は2009年1月現在のものです

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