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疲れも吹き飛ぶ 石川県の日帰り温泉ガイド

山代温泉 古総湯


写真提供:石川県観光連盟

泉質 ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
効能 神経痛、筋肉痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
入浴料 大人500円 6歳以上12歳未満200円 3歳以上100円 3歳未満無料
※山代温泉総湯共通料金、回数券、定期券、他割引あり
営業時間 6:00~22:00 ※年始変更あり
休館日 第4水曜日午前中 ※午後から通常営業
近くの観光地 山代温泉、山中温泉、魯山人寓居跡 いろは草庵
住所 石川県加賀市山代温泉18-128
お問い合わせ 0761(76)0144 ホームページ

Dr.若井の温泉レビュー ※記載内容は取材時のものです。

 せっかく山代温泉まで来たのだから、風呂に入る前に「魯山人寓居跡 いろは草庵」に寄りました。

 休日とはいえ、シーズンオフなのに、館内にはたくさんの見学者がいてびっくり。北大路魯山人の人気の高さを知ります。

 陶芸家、美食家として名を残す魯山人ですが、金沢や山代での滞在がなければ陶芸や美食に目覚めることなかったと教わり、あの魯山人を開花させた加賀の文化の奥深さにますます関心が強まります。

 庵を出て文化的な思考となった頭で、いよいよ昨秋にオープンした古総湯に向かいます。能登のヒバを使った建物はとことん明治時代の再現にこだわっています。

 入口は自動ドアではなく、木製の重厚感のある引き戸。開け閉めする所作や周りの人への気遣いなど、便利さと引き換えに失ってしまった趣を感じます。

 番台のお姉さま(あえてそう呼びましょう)に連れられて中へ入ると、脱衣場と湯船が一緒になっています。湯治場の共同浴場などで見られるスタイルですが、今ではかなり珍しくなりました。

「そこに服を脱いで、手前の源泉はとても熱いから、かけ湯は湯船のお湯をお使いになって…」と、こと細かく面倒を見てくださるお姉さま。なかなか話術にも長けて、浴場のムードを和ませてくれます。

 漆塗りの壁、九谷焼タイルに囲まれた地元の石材を貼った湯船に体を沈めます。

「うっ、寒い!」

 湯温39度というぬるさの第一印象。寒くて湯船からは当分出られそうにありません。

「額に汗がにじむまで、ゆっくりと時間をかけて浸かってください」と、くだんのお姉さまからのアドバイス。でも、軽い震えはでても、汗が出てくる気配は…。

 とにかく寒いので肩まですっぽりとお湯に浸かり、上を見上げると、漆塗りで黒光りした高い天井と天窓からはやわらかい日差しが注いでいるのが見えます。

 新しいけど、気の遠くなるような歳月を経たような重厚感を漂わせる浴場。ゆったりと時が流れるその環境に身をおくことの贅沢を味わえるようになると、寒さも気にならなくなり、むしろ「長湯ができるぬるいお湯でよかった」とさえ思うようになります。

 しばらくすると汗がにじんできました。「さて、体を洗おうか」となるのが普通の温泉でしょうが、ここにはシャワーもカランもなく、しかもシャンプーも石鹸も使用禁止なのです。

 明治時代の総湯を再現したという古総湯は、温泉の入り方も当時のやり方に則っているそうです。回りで体を洗っている人がいない分、静かでのんびりと温泉本来を楽しめる空間がそこにあります。

 半身浴でしばらくボーっとして、寒くなったらまたお湯に浸かることを何度か繰り返します。静かで照明を落とした浴場では、まるで瞑想でもしているかのように頭もクリアになっていきます。

 私自身、全国のいろいろな温泉へ行きましたが、古くて新しいこの温泉の楽しみ方はとても新鮮。これだったら旅館に泊まった人もわざわざ入りに来たくなるでしょう。きっと温泉街の活性化に大いに貢献できると思います。

 こうやって湯に浸かって瞑想しているうちに、いろいろな秘めたる才能が開花しそうな気さえしてきます。昔から文人墨客は温泉に長逗留して制作活動をすることが常ですが、「なるほどなぁ」と合点がいきます。まあ、いくら長逗留しても才能がなければ開花はしませんけど(笑)。

 湯上りはお姉さまにすすめられて2階の広間の休憩所へ。軒下に提灯が吊られ、ギヤマンがはめ込まれた木枠の窓からは、温泉街を見下ろすことができます。まるで夏目漱石の『坊ちゃん』に登場する道後温泉本館を思い起こす、ハイカラな佇まいです。

 このお姉さま、思えば明治時代の温泉を来館者に心地よく楽しんでもらうためのナビゲーターでもあったんですね。そして、建物も立派ですが、この人のおかげで古総湯の魅力に磨きがかかっているといえます。風呂もいいけど「このお姉さまにまた会いたい!」と感じて再訪される方も増えそうですね。

 ほんと素敵なお姉さま! おっと、誰ですかぁ? 『千と千尋の神隠し』の「湯婆婆みたい」とか言っている人は…(笑)。

(2011年3月 若井)

※情報内容は変更されることがありますので、おでかけの前にご確認ください。

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